だて歴史文化ミュージアムを体験

2019年5月5日午前中

洞爺湖からさらに東、伊達市まで足を伸ばし、4月3日にオープンした「だて歴史文化ミュージアム」を訪問しました。
施設は「だて歴史の杜」の中にあります。ちょうど桜が満開。
外観はいたってシンプル。「なんちゃって城」みないたものにならず、よかった(失礼)。地方都市の事情でもありますが、低予算でどこまでできるかに挑戦した結果でもあるそうです。

●デザインのネタ探し

今回の訪問は、この博物館をフィールドに、デザインキャラバンとして何かしでかすことができないか、そのヒントを得ることを目的としています。
亘理伊達家の末裔でもある、学芸員の伊達さんの案内で、まずは施設内を思い切り味わってきました。
本館の1階は「ラーニング・スタジオ」と名付けられたイベントスペース。いまは開館記念の美術展示を行っていますが、ワークショップやイベントでの利用を想定しているとのこと。そして、2階が展示室。常設スペースと企画展示スペースの2室で構成されています。
常設スペースは「侍文化」と「縄文、アイヌ文化」が交わる、というコンセプトで構成され、中央には映像を用いた展示スペースが大きく用意されています。
個々の展示内容についても、伊達さんから熱く解説していただきました。
展示室に入ってすぐ展開するのは、移住してきた亘理伊達家の資料。
奥側から展開するのは、縄文文化とアイヌ文化の資料です。北海道は縄文時代の後、弥生文化(稲作)にならずそのまま縄文時代が続いた(続縄文時代)ため、生活には時間的な余裕があって「表現」されたものが多く残っていること。北方産のものだけでなく九州産のものなども発掘されることから、縄文時代にすでに日本全体を通してすくなくとも物資の流通があったこと。アイヌ文化にも地域性があり、アイヌ模様の表現も地域ごとに異なり、単純にひとまとめにはできないこと。・・・など、市民を含めて多くの人に伝えたい伊達の歴史文化について熱く語っていただきました。
奥の展示室には、ミュージアムのシンボルのモチーフにもなっている、鎧が。兜から伸びる毛虫をモチーフにした前立は、熊の毛でできているそうです。縫い目が見当たらず、どうやって形にしているのか不明、とのこと。
じっくり見学しながら、中央のスクリーンを使ったインタラクティブコンテンツ、展示解説を支援するデジタルコンテンツ、資料データベースの閲覧システム、2回通路の壁を使ったプロジェクションマッピング、グッズ開発や展示を題材にしたワークショップなど、学生企画で試したいアイデアがムクムクと湧いてきました。

この日ちょうどお茶会をやっているという迎賓館も案内していただきました。
迎賓館は伊達家の住居として使われてきた建物です。
外観は和式の建築物ですが、中には洋室もあります。
それでもいたるところに武家屋敷としての仕掛けが埋め込まれているところが面白いと思いました。
建築時の職人さんのいたずらと思われる秘密も、こっそり(!?)紹介していただきました。
2階では連休の催しとして、甲冑の試着体験も行われていました。プロジェクトとしては体験しないわけにはいきません。
そしてこんなことまで。
旅先でのハイテンション、おそるべし。
まぁ、面白い展示コンテンツを開発してくれれば、許す。

ひとしきり休暇を満喫した(!?)後は、ミュージアムに戻り、「体験学習館」で刀鍛冶の実演を見学。なんと工房の中に入れていただき、刀の制作の一部を生で味わうことができました。
師匠と弟子の間の、愛のある緊張感には迫力があります。単語だけのやりとりと沈黙の空間に、時間を忘れて息を飲んで見入ってしまいました。小一時間ほどの見学の後、刀匠が質問時間を取ってくださり、刀匠自身やお弟子さんの来歴などをお話しいただきました。

さて、夏か秋には、このだて歴史文化ミュージアムで、何かしでかしたいと思います。

追記(2019/05/06)
室蘭民報にこんな記事が。

このブログの人気の投稿

活動記録 箱館洋家具の調査

くらCraでプロトタイピング

プロジェクト学習テーマ説明会